映画(実相寺監督追悼)

とりあえず実相寺監督については一言書いておかねば…

実相寺監督の代表作としてウルトラマンが挙がるんだろうけど、子供主体の特撮番組向きの監督では無かったと思う。
ゴダールを意識した)個性的すぎるカメラアングル、不安を感じさせる演出、斬新と言えば斬新・投げっぱなしといえば投げっぱなしなカット割などは子供向けにしてはどうも馴染めない感覚、マン・セブンを経て「怪奇大作戦」でようやく作品と演出が合った感じ。
ただその映像全体は一度意識してしまうと忘れられないしクセになる。その(同じくゴダール作品を意識しているらしい北野武監督作品に似た)「奇妙な味」が忘れられないので、どうしても「実相寺監督作品」だけは(ストーリーや出来云々は置いといて)「別格扱い」になってしまう。
それに加えてヒューマニズム重視のストーリー(ジャミラガヴァドン)、「間違えてスプーンで変身」「喪服のフジ隊員」「畳でアグラかくメトロン星人」とかのユーモア性などで特撮ファンの関心を集めるワケなんだけども、「ウルトラシリーズを代表する監督」っぽい扱いはちょっと違う気が。あくまで円谷一・飯島・金城といった面子による王道作品あってこそ佐々木&実相寺作品が光るワケで、いわば「影」っぽい存在だったのだけれども…
やはりウルトラマン制作時代を回顧した「星の林に月の舟」を発表して以降、何のしがらみも無く(全く無いワケじゃないけど)率直に当時の思い出を語れる人=当時のスタッフの意志を継ぐ人として多方面で引っ張りだこになっちゃったので、周囲の期待と本人の作家性とのギャップが「帝都物語」とか「ウルトラQ・ザ・ムービー」みたく評価に困る作品になっちゃったんだろうと思う。
むしろ↓に収録されてる「ラ・ヴァルス」とか「アリエッタ」みたいな耽美エロを表に出しつつ「特撮は使用しないし怪獣も宇宙人も出てこないけど『日常を踏み外すファンタジー』という意味では通底してる」作品が素直に面白いのだけれど。

まぁ監督エロ好き公言してたし↑で主演の加賀恵子さんって監督のそーいう関係な女性だったらしいしノリノリで面白いのは当たり前なのかもね(ボソッ)
んで新作で「シルバー假面」て。普通のリメイクでなく大正時代のドイツ人少女が主人公て。何でまた…と思いつつ、先日買ったフィギュア王では
制作当初は乗り気ではなかったが、撮影が進むにしたがいアイデアがポンポン飛び出しなかなか楽しめた
と書いてあり、「アレ、もしかして本人ノリノリだし結構面白いのかな?」とか思ってた矢先に。
つーかまだまだジャンル問わず色々な作品を撮ってもらうべき人なのに。
合掌。

※主観で言うのは問題あるかも知れないがとりあえず…監督のエッセイは特撮ネタよりも鉄道ネタの方が好きでした(やっぱアチコチに気兼ねせず書けたからかなー)